ネオ「ユナ?ユ~ナ?」
あれ、ユナったらこんな夜更けにふらっと表に出て出っきりで、30分も戻ってこない。曲りなりにも18歳の女子が危ないだろ。
ユナの後をつけて表に出たつもりが見失ってしまった。はてさてどこに行ったものやら。
ユナ「あら、ネオ。付いて来ちゃったのね。危ないでしょ、こんな夜更けに。」
自分はどうなんだい!ユナちゃん。
ユナ「私だったら大丈夫。久しぶりにそこの大きな樫の木と遊んでいたの。」
よく見るとユナは大きな樫の木のコブの上にちょこんと座っている。しかも樫の木がうすぼんやり光ってエネルギーを放っているのが良く解る。
ネオ「ユナ、遊ぶって?」
ユナ「簡単に言うとエネルギー交換よ。」
ネオ「じゃあ、ユナのエネルギーって植物なの?」
ユナ「そうよ。この樫は何でも言うことを聞いてくれるの。」
ネオ「ユナがその気になれば、樫の木が攻撃してくるってこと?」
ユナ「あまり、したくはないけどね。」
ネオ「いつもユナに落とされるけれど、動物に対しても同じなの?」
ユナ「そうよ。」
あたっ。俺の右手が勝手に顔を殴ってきた。
ネオ「おい、やばいだろ、これ。」
ユナ「そうかなぁ。」
ネオ「遠くにもコントロールする事有るの?」
ユナ「滅多に無いけどね。」
エメルもエメルならユナもユナだよ。これじゃあ長距離のミサイルと同じだろ。
ユナ「そんなに驚かないでよ。だからここに住んでいるんだから。」
ネオ「そうだよなぁ。」
ユナ「ほら見て、花を咲かせるよ。」
ユナの右手で握っていた枝葉がみるみる蘇り、やがて一輪の花を咲かせた。
ネオ「綺麗だね。」
ユナ「そうかなぁ。。。。。。」
花弁がゆっくりと開いて、花の蜜の甘い香りが漂っていた。
ネオ「ということは、弦を伸ばして色々出来ちゃうの?」
ユナ「やろうと思えばね。」
ネオ「ジャングルの王者じゃん。」
ユナ「そんな言い方止めてよ。この子たち、可愛いんだから。」
そんなもんなんだぁ。分野は違えど、ユナは植物系では断トツだな。動物系もだな。 どんな姉妹だよ!
ネオ「ユナ、こういうこと、抑えること出来るの?」
ユナ「たまのリフレッシュよ。この子たちも寂しがるでしょう」
ユナ「心理的に違うのよ。」
ネオ「そんなもんなんだぁ。」
ユナ「うん、人間は植物や森と共存しているのよ。」
この場でユナを怒らせると、怖いことになりそうなので、止めておこう。
俺も花を咲かせてみようとした
ネオ「ユナの様な綺麗な花は咲かないよ。」
ユナ「慣れよ。」
エメルの時の様に、力を推し量るのに、戦うのも良いが、それをここでやると森の総攻撃を食らうのが目に見えている。精神戦にとどめよう。
ネオ「ユナ、突然だけど、ユナの心の中に入ってみようと思うんだけど、良いかな?」
ユナ「出来るんだったらどうぞ。」
ネオが軽く目をつむって、心のドアを開けるチャンネルを合わせ始めた。
ネオ「ノックノック、ユナちゃんの心ですか?」
ユナ「あら、本当に入ってきちゃったんだ。ここは私の世界で私の支配だから、ユナの言うことを聞かないとダメなんだぞ。」
ネオ「解っているよ。でも心の姿も、ユナちゃん、可愛いね。一応服着ているんだね。」
ユナ「ごほん、一応ね。」
ネオ「今観て感じる限り、困った事や病気の所、心のケガも無いみたいだね。実は俺は心のお医者さんなのさ。」
ユナ「くすっ、変なの。いつも変だけど。」
ネオ「そこまで言うかなぁ。」
ユナ「帰さないことも出来るのよ。」
ネオ「それは困るよぉ。たまに健康診断だよ。」
ユナ「そっかぁ。帰してあげた後、腕組んで良いかな?」
ネオ「たまになら良いよ。」
今日のユナちゃん、いつになく素直で可愛い。
ユナ「あ~あ、いつまでも夜、続かないかなぁ。」
ユナの心から出て目を開けると、ユナの手が左手に繋がっていた。